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<1>





いつからそこにいたかは憶えていない。
ただ、気が付いたら足には鎖があって私はそこから動けなかった。
どれくらいの時間を過ごしたかは憶えていない。
ただ、ひどく悲しかったことは覚えている。

ある日後ろから声がした。
「こんにちは」「こんにちは」知らない人の声だった。
「君はいつから此処に居るの?」「…わかりません」
「貴方は何をしているのですか?」「待っているんだ」
その人が言うには、いつか迎えが来るとのことだった。
「君の番はずっとあとだよ。でも、代わってあげてもいい」
「その蝶を捕まえられたら、君は此処から出られるよ」
言われるまま、私は目の前を飛ぶ蝶に手を伸ばす。
…その蝶はいつから飛んでいたのだろう。
最初から居たはずなのにどうして今まで触れようとしなかったのだろう。
触れかけた時、ふと気がついた。
その人の前にも蝶が飛んでいることに。

「どうして、貴方は手を伸ばさないのですか?」
尋ねる。顔は見えないはずなのに、その人が笑った気がした。

「それはね、その






 

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慌ただしく足音がした。
またか、ため息をつく。
「何の騒ぎだ」
声をかけると驚いたように顔をあげる。
聞くと、侵入者がやってきたとのことだった。
しかし、そんな予定は無いはずだと言う。
…当然だ。そんなことを言わせた憶えは無い。
「予言されて無いのなら問題にならないだろう」
「あいつが対処する、捨てておけ」
そういうと、安堵のため息が聞こえた。
あぁ、こいつらの相手は疲れる。

俺は知っていた。
訪問者が来ることを。
それが何を意味するかを。
知っていて黙っていた。

さぁ、時間だ。
君はあの蝶に触れただろうか。
触れる瞬間を見ることは出来なかった。連れ戻されたから。
だから、どうなったのかを俺は知らない。

でも、願わくば





<3>





頭痛がした。それも、ひどく。
あいつの言葉を鵜呑みにして此処に来たこいつらに対してなのか。
俺に押し付けたあいつに対する感情なのか。
予言に無い侵入者が来ることを、知っていた。
あいつから直接聞いたから。
何故、伝えないのかと尋ねると必要だからとだけ答えた。
…それが答えになるかは別として。
あいつは間違わない。それが正しいから。
「俺が対処する、そんなところに居られると邪魔だ」
「あいつらの警護に戻れ」
手で追い払うと一礼して去っていく。

真実を知っている人間は多く無い。
あいつらと、俺と、彼の大婆様。
大婆様はもう居ない。だから知っているのは俺と、あいつら。

やればいいんだろ、やれば。
それが役目だというのだから。

早く、夜が







<4>






物音がした。
騒々しかった。
眠っているはずの部屋に入ってきて頭を垂れる姿はひどく滑稽だった。
何も言わずに睨むようにその姿を見る。
侵入者が居る。
予言は聞いていない。
どうしたらよいか。
…それを問われても答えようがない。
「何も、聞いていない?」
問うと、放っておくよう指示されたと言う。
ならば何故それに大人しく従わないのか。
「伝えるべきことは全て伝えてある」
「その言葉を信じられないのであれば此処から出ていけ」
ため息交じりに告げると相手は顔を真っ青にしておどおどしく出て行った。
あの人が間違うはずは無いのだ。
だから大人しく従えばいい。

あぁ此処はなんて





<5>





綺麗。
月が、綺麗。
こんなにゆっくり眺めることは無かったから。

流石、と言うべきなのだろう。
見つからずに居れるとは思っていなかったが、こうも容易く見つかるとは。
相手も必死と言うことなのだろうけれど。

夢を見た気がする。
どんな夢だったかは思い出せない。
悲しい思いをした気がする。
最後はどうだっただろうか。
思い出せない。

あぁ、行かなくちゃ。
あなたが、未来を視ると言うのなら。
私には必要無いけれど。
必要とされているのだから。
あなたを、あの場所へ。
それが、私の











続きません。

 

 

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雪月花

Author:雪月花
赤石黄鯖住民。
絵を描くことは好きです。
何事も、まずは楽しく。

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